こんにちは!pochapochaです!
前回の記事で「SLEの方におすすめの書籍3選」としてご紹介した中の1冊、『遺伝子が語る免疫学夜話』。
本書はSLE当事者として読むと、自分の体や遺伝子、はたまた祖先についてまで解説されてるような気分になる本で、非常に楽しく最後まで読むことができました。
これは前回の記事でサクッと紹介するだけじゃもったいない!ということで、今回はこの本の中から、SLE当事者の心に刺さる面白いポイントをピックアップしてご紹介します!
※前回の記事をまだ読んでいない方は、ぜひこちらからチェックしてみてくださいね♪
感染症と自己免疫疾患の深いつながり
本書の大きなテーマの一つが、「現代の自己免疫疾患は、人類が過酷な感染症と戦い抜いてきた進化の証である」という話です。
例えば、地中海に浮かぶサルデーニャ島は、SLEなどの自己免疫疾患の保有率が高いことが知られています。
その原因を調べるために遺伝子調査を行ったところ、サルデーニャ島の人に特有の、SLEに関わる遺伝子変異が見つかったそうです。
その遺伝子変異はヨーロッパ全土の中でサルデーニャ島でしか見つからず、それはサルデーニャ島が比較的近代までマラリアの猛威に晒されてきた地域であるからとのこと。
人類が子孫を残すことに影響を及ぼすほどの重篤な感染症が現れた時、ウイルスに対抗するのに有利な遺伝子(=それが同時に自己免疫疾患の発症リスクにもなる遺伝子)を持つ人が生き残り、自然選択されていきました。
その結果として、現代において自己免疫疾患を発症するリスクを持つ人が多くなった……という説です。
「自己免疫疾患は、免疫が強すぎて暴走し、自分を攻撃してしまう病気」ということは知っていましたが、それが「過酷な感染症と戦ってきた歴史の証」であるという説は、自分の中で非常に腑に落ちる内容でした。
SLEとマラリアとプラケニル
そして、この「SLEとマラリア」の関係は、私たちが日頃お世話になっているお薬の歴史にも繋がっています。
現在、SLEの標準治療薬として多くの患者さんが服用しているプラケニル(ヒドロキシクロロキン)。
このお薬、もともとは「抗マラリア薬」として開発されたということはご存知の方もいらっしゃると思います。
しかし、なんでSLEに抗マラリア薬を使うの?と疑問に思ったのではないでしょうか。
私もプラケニルの説明で「抗マラリア薬」というワードを見るたびに、なんでなのかなぁとぼんやり思っていました。
本書では「抗マラリア薬」がSLE標準治療薬になるまでの歴史も紹介されていました。
もともと、南米の原住民の間では、キナの木の樹皮を煎じたものがマラリアに効くと知られていました。
その有効成分を取り出して開発されたのがキニーネという薬。
その後大航海時代にマラリア予防として駐在員にキニーネが処方されていたところ、一部の駐在員が患っていた関節炎や皮膚炎まで治ったことから、sleなどの関節炎や皮膚炎に効くことが分かったそうです。
キニーネの構造を参考にクロロキンが化学合成され、のちにSLE標準治療薬となるヒドロキシクロロキンが開発されたとのこと。
マラリアという人類の長年の敵と戦う中で生まれたお薬が、時代を超えて現代の私たちが飲むSLE治療薬になっている。
自分が毎日飲んでいる薬にそんな生い立ちがあったなんて知ると、毎日の服薬も少し違った気持ちになる気がします。
たまに大航海時代に想いを馳せながら、プラケニルを飲んでみるのも悪くないかもしれません。。。

余談ですが、クロロキンの「キン」はもしかして「キニーネ」から来てるのかも?と気になり、由来を調べてみました。
以下、AIによる翻訳・要約
ヒドロキシクロロキン(Hydroxychloroquine)の名前は、化学構造式に含まれる「水酸基(ヒドロキシ / hydroxy)」、「塩素(クロロ / chloro)」、そして「キノリン(キニン / quine)」の各構成要素を組み合わせて付けられました。 [1, 2]
- quine(キニン / キノリン骨格):抗マラリア薬の原点である天然成分「キニーネ(quinine)」、およびその基本骨格であるキノリンに由来します。さらに「キニーネ」自体の語源は、ケチュア語でキナの木の皮を意味する
kinaに遡ります。 [1, 2]【参考】1: https://www.dictionary.com/browse/hydroxychloroquine
2: https://motitown.com/vocabulary/word/hydroxychloroquine
ビンゴでした👏笑
薬の名前って色んな由来があったり、変な名前だったり、呪文のような名前だったりでなかなか興味深いですよね。
はたまた成分名と製品名があって、どちらで呼ぶのか…みたいなややこしい一面も。
お薬の名前について、SLE患者視点で気になったことを調べてまとめた記事も書きたいと思っているので、興味のある方はぜひフォローしてお待ちいただけると嬉しいです♪
以上、余談でした😀
SLEの症状が人それぞれなわけ
本書では、SLEの発症に関わる具体的な遺伝子変異についても詳しく解説されています。
- Fcγ(エフシーガンマ)受容体の変異
- BAFF(バフ)遺伝子の変異
などなど…
専門用語だけ聞くと難しそうに思えますが、これも様々な感染症に抵抗する歴史の中で起きた、遺伝子の自然選択の結果ということ。
色々な地域で発生した重篤な感染症から遺伝子の自然選択が起き、そこから生まれた遺伝子リスクの組み合わせによって発症するのが自己免疫疾患であるとのこと。
なので、SLEなどと一括りにしても、影響を与えている遺伝子は人によって異なるから、症状の出方が異なるらしい。
SNSなどでSLEの方の話を見ていても、症状の出方からそれが生活に与える影響まで本当に人それぞれだなぁと思っていたけれど、その謎が分かってモヤがひとつ晴れたような感じがしました。
みんなそれぞれ異なる組み合わせの遺伝子から影響を受けているのだから、同じSLEなのに自分とあの人はなぜこんなに違うの?と比べることに意味はないのです。
人と比べるよりも、自分の体と向き合っていくことを大切にするべきだと改めて感じました。

SLEを持つということ:実は「免疫つよつよ」の証!?
この本を読んで一番自分の肯定感を上げてくれたのが、「SLEを持っている人は、もともと免疫つよつよ遺伝子を両親から受け継いだ可能性がある」という視点です。

※画像はイメージです(笑)
人類の歴史において、強力な感染症から生き残ってきた「強力な免疫力」を持っていたご先祖様たち。
そのパワフルな遺伝子を受け継いだからこそ、現代の私たちは免疫が強すぎて自分を攻撃してしまっている。
治療ではその強すぎる免疫を抑えるために免疫抑制剤を使い、結果として「感染症にかかりやすい(免疫よわよわ)」状態を作っている……という、なんとも皮肉な状態なのですが(泣)
でも、「自分は弱い存在なんだ」と思うのではなく、「本来はご先祖様から引き継いだ、感染症に負けない強靭な遺伝子を持っているんだ!」と思えたことで、自分の体にちょっとした誇りと愛着を感じられるようになりました。
SLEを持っている自分を受け入れられずにいる方にもぜひ手に取っていただきたい本です。
自分の遺伝子はどこから来たの?
「SLEはマラリアの多かった地域に患者が多い」
「自分の中には強烈な免疫遺伝子が眠っている」
そんな歴史を辿っていくうちに、頭の中にどんどん疑問とワクワクが湧き上がってきました。
- 「私の遠い祖先も、そうした感染症の激戦区からやってきたのか?」
- 「私はSLEを発症しやすい遺伝子を持っているの?」
- 「私って本当に『免疫つよつよ遺伝子』の持ち主なのか?」
本書を読んで、自分のルーツや体についてもっと知りたくなった私。
好奇心のままに遺伝子検査を試してみることにしました!
『免疫学夜話』を読んで「自分の遺伝子や体質」に非常に興味が湧いた私。
「じゃあ実際、自分自身の遺伝的なリスクってどうなんだろう?」と気になり、人生初の『遺伝子検査』を実際に受けてみました!
次回はそのリアルな体験談や結果についてお届けします♪ お楽しみに!
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